Sha of Prideについて―MoPのプライド批判
ミスト・オブ・パンダリアのストーリーを振り返る上で、プライド(自尊心)に対する批判的な評価は見落とすことができないように思われます。
本来、プライドといえば、「徳」や「自信」などと結びついた称揚されるべきポジティブな感情だと思われがちですが、MoPのストーリーにおいては、プライドこそが負の感情の最たるものだという位置づけがなされます。
人間の持つネガティブな感情として、Anger(怒り)、Despair(絶望)、Doubt(疑念)、Fear(恐怖)、Hatred(憎しみ)、Violence(暴力)があり、それらが物質的に具現化したものがシャー(Sha)であるとされますが、これら6種のシャーのどれよりもはるかに凶悪なものとして位置づけられるのが、Pride(自尊心)の感情の具現化であるSha of Pride。
皇帝Shaohaoが第7番目のShaの正体を明らかにする場面。(クエスト "Path of the Last Emperor"より)
「自分は他人よりも優越している」
「自分は誰の助けも借りずに自分自身の力だけで生きていける」
「自分は常に正しく、他人は常に間違っている」
「自分の誤りを認めることは自分の誇りを傷つけることを意味するので、自分の誤りは断じて認めない」
過剰な自尊心に基づいたこうした傲慢な確信や主張こそが諸悪の根源となりうるということ。
"Be humble." (謙虚であれ)
という、おごることなかれと自尊心を抑制するように説くパンダレンの教訓こそが、MoPのストーリーで反復される最大のメッセージ。