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World of Warcraftに関するメモなど

"World of Warcraft: Legion"(2016) ストーリーまとめ

World of Warcraftの第七番目の拡張となる"World of Warcraft: Battle for Azeroth"(2018年8月13日リリース)のストーリーのあらすじをそろそろ簡単にまとめておきたいと思い立ったのですが、まずそのための前提として、前回の拡張"World of Warcraft: Legion"(2016年8月30日リリース)のストーリーのおさらいをしてみます。

"World of Warcraft: Legion"『リージョン』のストーリーまとめ

グルダン(=もう一つのタイムライン上のグルダン。詳細は前々拡張の話なので省きます)はこちらのタイムライン上の世界へと侵入し、サーゲラスの墓(the tomb of Sargeras)に秘められた力を解放してリージョン(=the Burning Legion)を招き入れるためのポータルを開いた。

これに対し、カドガーKhadgarとマイエヴMaievをはじめとする英雄たち、そしてアライアンスとホードの軍勢はブロークンショアthe Broken Shoreに一同集結し、この世界(=惑星アゼロス)を防衛するべく、ポータルから次々と送り込まれるリージョンの大軍勢と死闘を繰り広げる。

しかし、リージョンの勢力はあまりにも強大であるため、ホードのウォーチーフであるヴォルジンVol'jinは「今ここで全滅するわけにはいかない」と、全軍退却という苦渋の決断を下す。現場の指揮官であるシルヴァナスはヴォルジンの命令に従い軍を引き上げる。

だが、その時戦闘に従事していたのはホード軍だけではなく、アライアンス軍もまた共に最前線で戦っており、突如としてホード軍が退却を始めたことで、残されたアライアンス軍はさらなる窮地へと陥ることになる。この時、アライアンスの最高指導者であるストームウィンド王ヴァリアン(Varian Wrynn)はアライアンス軍に撤退する猶予を与えるべく、自身は囮となって最前線にとどまり壮絶な戦死を遂げる。

(全滅を免れるための撤退というホード側の決断には一理あったものの、アライアンスにとってこれはホードによる「裏切り」に他ならなかった。この一件は、ホードに対するアライアンスの不信を決定的に高め、その後の両陣営間の抗争へと繋がる火種の一つとなった。ヴァリアン王は事実上シルヴァナスによって殺されたのだというストーリーがアライアンスの人々の間で共有されることとなる。実際のところホード軍の撤退を決めたのはウォーチーフであるヴォルジンであり、シルヴァナスは彼の命令に従ったに過ぎなかったが、そうした内部的な事情はアライアンス側の知るところではなかった。ちなみにヴォルジンは戦いで負った傷がもとで死去するが、死ぬ間際に次代ウォーチーフとしてシルヴァナスを指名する。)

 

サーゲラスの墓に開かれたポータルを封印しない限り、無尽蔵に送り込まれるリージョンの軍勢によってこの世界(惑星アゼロス)が滅ぼされるのはもはや時間の問題だった。

リージョンの侵攻を食い止めるために考え出された唯一残された方策は次のようなもの。すなわち、創造の柱(=the Pillars of Creation)と呼ばれる、パンテオン(神々=タイタンたち)によって創り出された、惑星アゼロスの自然界に摂理をもたらすために用いられたとされる太古の5つのアーティファクトを集め、その力をもってポータルを封印すること。

この方針に従い、プレーヤーたちは世界中に散らばっているアーティファクトを探し出し入手するための冒険に乗り出す。

その一方で、リージョンの軍勢と対峙するための軍事的な「戦力」として、史上最強のデーモンハンターであるイリダン(Illidan Stormrage)の魂を取り戻し、彼を再び蘇らせる必要があった。

イリダンの身体は、ブラックテンプルの戦いの後にサーゲラスの墓に封印されていたが、上述したグルダンはサーゲラスの墓に侵入した際、サーゲラスをこの地に降臨させるための「器」として利用すべくイリダンの身体を奪取していたのだった。

5つのアーティファクトをすべて集め、イリダンを復活させることにも成功したカドガーとプレーヤーたち一行は、アライアンス・ホード両軍と共にサーゲラスの墓へと進攻する。

サーゲラスの墓を制圧したプレーヤーたちはポータルを使って逃走したキルジェイデン(サーゲラスの副官でありランク的にはサーゲラスに次ぐナンバー2)を追って、惑星アーガス(=Argus リージョンの本拠地)近辺に位置するリージョンの旗艦へと乗り込み、キルジェイデンを倒す。

その後、イリダンはサーゲライト・キーストーンを使って惑星アゼロスへと一行を帰還させる一方で惑星アゼロスと惑星アーガスを結ぶポータルを開通させる。アゼロスを守るためにはリージョンを撃退するだけでは不十分であり、本拠地である惑星アーガスへ攻め込んで元凶=サーゲラスそのものを討伐しなければならないというイリダンの信念に基づく行為だった。

その後、リージョン打倒の目的を共有するリージョンフォール軍団(Armies of Legionfall)も合流して、一同は惑星アーガスへと進攻する。

惑星アーガスの中核に位置するリージョンの本陣ともいうべきアントラス(Antrous, the Burning Throne)内部では、パンテオンの神々(タイタンたち)の魂が囚われ虐げられており、それらを解放することに成功する。

惑星アーガスに宿る世界精神*(world-soul)であるアーガスはすでにサーゲラスによる支配下に置かれ続け、もはや取り返しがつかないレベルにまで精神的に汚染され正気を失っている状況にあった。プレーヤーたちはパンテオンの神々の力を借り、もはや避けられないアーガスとの最終決戦に挑む(このアーガスが今拡張『リージョン』における最終ボス)。

 

注* 

(「世界精神 world-soul」とは、惑星そのものに内在するタイタン(=神々のうちの一人)のこと。この宇宙において、一つの惑星には一人の人格神=タイタンが宿っているというのがWoWの世界設定であり、例えば、惑星アゼロスには未だ眠れる幼いタイタンであるアゼロス(アゼロスはジェンダー的には女性とされる)が宿っている。そもそもサーゲラスが惑星アゼロスに侵攻した目的は、未だ幼いアゼロスがVoidによって汚染されてしまう前に彼女の命を絶つことだった。見落とされがちだが、サーゲラスが主敵と定めていたのはあくまでVoid(WoWの世界設定において、Void(=闇・虚無)は、Light(=光)の対立概念)であり、Voidと戦うというサーゲラスの大義自体は常に一貫しており決して間違ってはいなかった。ただ彼はあまりにも悲観的かつ急進的すぎたため、Voidに汚染される可能性のあるものの芽を事前に摘み取っておくべきだという考えに傾き、すべての世界精神及び生命そのものを根絶しなければならないという使命感に取り憑かれ暴走してしまったのだった。結果、惑星アゼロスを破壊しようとしてパンテオンの神々と対立し、パンテオンの神々にさえ刃を向けてしまう。その急進的な正義の観念ゆえに、Voidと戦うという彼の姿勢は一周回ってVoidそのものと一致してしまうという皮肉を演じてしまったのだった。ちなみに「急進的な正義がもたらす悪」(悪を滅ぼすべきだという正義が暴走し、悪によって汚染される前にすべてを滅ぼせば正義は実現できるという確信に至る)というモチーフはWoWのストーリーの中で何度も登場しています。例として、有名なのがWotLKのUlduarにおける最終隠しボスであるAlgalon the Observer。MoPのThrone of Thunderにおける最終隠しボスであるRa-denも同様のモチーフをかかえたキャラクターとして知られています。)

 

プレーヤーたちによって倒されたアーガスの体内に残る最後のエネルギーをすべて利用して、パンテオンのタイタンたちは、惑星アゼロスを今まさに破壊しようとしているサーゲラスを捕らえ、パンテオンの座へと封印する。だがサーゲラスの執念は凄まじく、捕らえられる間際に自らの剣を惑星アゼロスに突き立てる(惑星アゼロスの眠れるタイタン=世界精神であるアゼロスはこの剣の一突きにより死には至らなかったものの、深刻な傷を負ってしまった)

リーダーであるサーゲラスが封印されたことにより、バーニング・リージョンは完全に崩壊した。この度のリージョンに対する戦いで中心的な役割を果たしたイリダンは、皆と共に惑星アゼロスへ帰還することを辞退し、パンテオンの座に留まり封印されたサーゲラスを監視する任務に就くことを選んだ。

以上で『リージョン』のストーリーは完結。